セラミックワーク
1995年の開業より、Mセラミック工房が最も注力してきた分野がセラミックを用いた審美補綴技工です。
当時のメタルセラミックスから培ってきた経験と技術を活かし、現在はメタルフリーレストレーション専門のラボとして日々研鑽を重ねております。
ジルコニアセラミックス
2005年より、日本の歯科でも正式に認可された『ジルコニア』ですが、当時は『白い金属』と呼ばれ、革新的な材料として注目を集めました。
人体の中で最も負荷がかかると言われている人工股関節の材料など、医療のさまざまな場面でも使用されています。
生体での安定性が非常に高く、金属アレルギーを持つ患者にも最適の素材として認識されており、現代のメタルフリー技工の材料としては第一候補となるでしょう。
Mセラミック工房のプレミアムなジルコニア
エムセラで扱うプレミアムなジルコニアのラインナップでは、デンツプライシロナ社のCAD/CAMシステム『セレックinLab MC X5』を使用することで、世界中のあらゆる素材を選ぶことができます。
材料の特性を正しく把握し、各症例に最適な歯科材料を選ぶことも重視しているので、ジルコニアだけでも複数の製品を常にラインナップしております。
- e.max Zircad LT/mulch/サンクロマ
- セルコン ht
- Luxen SMS2/MHT/mulch
…他
こうした材料は、Mセラミック工房スタッフがドイツのIDSで視察を行い、時代に最適な歯科素材を選び抜いております。
また、ZIRCONZAHN社(イタリア)のハンドミリングシステム『Zircograph』を使用した『PRETTAU』と『translucent』ブランクスも採用しております。
ハンドミリング工法の採用により、フルアーチのジルコニアクラウンはもちろん、ジルコニアインレー、ジルコニアカスタムアバットメントなども、CAD/CAMと同程度の精度で削り出すことが可能です。
エムセラでの半焼結ジルコニアへのアプローチは、全てのケースに手作業のひと手間を加えて仕上げております。
例えばフルジルコニアクラウン咬合面の小窩裂溝や、頬側面の細かな表面性状などは、シンタリング後に加工することはできません。そうした機械加工では不可能な領域も、エムセラでは手作業によって実現させております。
削り出されたブロックの色調に関しても、そのままシンタリングを行う一般的な方法とは異なり、患者の歯の色調に合わせて1歯ずつカラーリングしております。
レイヤリングクラウンだけでなく、フルジルコニアクラウンにもそれぞれの素材に最適なカラーリキッドを浸透させて仕上げます。
また『ZIRCONZAHN社』純正ブランクスには、純正のカラーリキッド『アクアレル』を浸潤させ、専用のシンタリングファーネスによって、より高強度に、より美しく焼き上げます。
┘1番:ジルコニアコーピングクラウン
歯科で使用されるジルコニアについて
ジルコニアは、温度によってその結晶構造を変化させます。室温でも高い強度を維持させるため、安定化材のイットリアもしくはセリアが少量添加してあります。つまり、歯科で使用される『主成分ジルコニア』の定義とは『YTZP』もしくは『CeTZP』であり、ジルコニアが90%程度含有されている 『ピュアジルコニア』を指します。
VITA社のインセラムジルコニアなどは、ジルコニアの名前がついてはいるもののジルコニアは 30%程度しか含まれていないため、ジルコニアセラミックスには分類されず、アルミナフレームに分類されます。
近年の高い透過性のジルコニアは、この『イットリア』の添加量を増やして安定化させたもので、『4YTZP』や『5YTZP』などと分類されています。
イットリアの添加率を増やせば透過性は高まりますが、その反面強度が落ち、材料によっては暗くなりすぎたりするので、詳しい技工士により最適な材料選択を行うことが肝心です。
ジルコニアのセルフヒーリング
ジルコニアが持つ最大の特徴として、『セルフヒーリング効果』が挙げられます。ジルコニアは室温では単斜晶系であり、温度を上げていくと正方晶、及び立方晶へと結晶構造が相転移します。
特に単斜晶から正方晶への相転移では4〜7%の体積収縮が見られます。すなわち,室温付近で立方晶や正方晶が混在する組織になっている部分安定化ジルコニアが大きな応力を受けると、正方晶粒子が体積膨張しながら単斜晶に相転移します。
この体積膨張が大きな応力場で生じたクラックを押しつぶし、クラックの進展を防止します。(結晶構造を変化させ、亀裂を押さえ込む)この効果によって曲げ強度は900〜1200Mpaとなり、金属と同程度の強度を有します。
ジルコニアの高い強度の秘密は、マイクロクラックは発生するものの、破断には至らないというユニークな特性です。
e.maxプレスセラミックス
イボクラールビバデント社のプレスセラミックスは、Mセラミック工房では2002年より導入しているオールセラミックシステムであり、エンプレス、エンプレス2、e.maxの各シリーズを通して、数多くの製作実績があります。
前歯部の審美歯科技工物では最も美しく、適切な支台歯形成とシェードテイクを行えば天然歯と見分けがつかないほど美しく仕上げることも可能です。
近年では透過性の高いジルコニア材料が登場したことで、症例も減りつつありますが、エッチングなどのe.maxならではの接着処理が可能で、これからも一定のニーズは存在するでしょう。
e.max専用の純正プレス機で成形される進化したフレームは、より美しく、より強いオールセラミックスを実現します。
豊富なフレームインゴット
e.maxにラインナップされた各種インゴットは、透過性の選択から始まります。
透過性の高いものからHTインゴット、LTインゴット、MOインゴット、LOインゴットが用意されており、それぞれに彩度や色相を選択することができます。
インゴットの選択により、インレーやクラウン、ステイニングテクニック、レイヤリングテクニック、ラミネートベニア、プレスオンメタル、プレスオンジルコニアなど様々な症例にアプローチすることが可能です。
┘1番:e.maxレイヤリングテクニック(set直後)
e.maxは特にインレー症例に最適
e.maxオールセラミックスは、CAD/CAMによる削り出しだけでなく、従来のロストワックス法による製作も可能です。
手作業によるワックスアップから作り出すe.maxインレーは手作業ならではの高い辺縁封鎖性を持ち、e.max独特の特徴である『カメレオン効果』によって残存資質に自然に馴染みます。
e.maxのマージン部への自然な馴染みは、インレー修復に最もおすすめできる素材です。