記事内に商品プロモーションを含む場合があります。

Aoralscan3の導入テストでわかった、最新口腔内スキャナーの真の実力。

2023年1月より、Mセラミック工房でも口腔内スキャナーを導入し、その運用を開始致しました。

数ある口腔内スキャナーの中で採用した機種はSHINING 3D社の『Aoralscan3』という機種です。
実践投入に先立ち、いくつかのテストを行いましたが、これがかなりの実力を持っていまして…

今回はAoralscan3のテストの様子と、本体、ソフトの特徴をご紹介します。

Aoralscan3の基本スペック

『Aoralscan3』は、SHINING 3D社が製造する最新シリーズの口腔内スキャナーで、軽く、握りやすい本体と、高い性能を持つ機種です。
導入価格も比較的安価で、ランニングコストも最小限に抑えられるので、現在最も入手しやすい機種の一つと言えます。
セレックのように院内で技工物を内製することに特化しているわけでもなく、インビザラインにデータを送ることもできませんが、デンツプライシロナ社のシュアスマイルや、その他のサービスでアライナー矯正に取り組むこともできますし、デジタルに強いラボに外注したり、治療内容のカウンセリングに活用することが目的であれば、Aoralscan3は非常におすすめです。

重さ 240g± 10 g (ケーブルは除く)
スキャンフィールド 標準スキャナチップ: 16 × 12 × 22 mm
ミニスキャナチップ: 12 × 9 × 22 mm
寸法 (長さ x 幅 x 高さ) 281 mm × 33 mm × 46 mm
出力ファイル Stl,Ply,OBJ
クラウドサービス SHINING 3D デンタルクラウド
販売取扱店 ジャパンクオリティ、ジオメディ、岡部、日本歯科商社、他

 

Aoralscan3の導入コスト

口腔内スキャナーなどのデジタル機器導入時に、まず気になるのは初期費用とランニングコストです。
デジタル化を図るまでは良しとして、毎月発生するライセンス料などはなるべく抑えたいところ。
デジタル機器の導入は、本体とは別に、運用にかかるトータルのコストも勘案して検討すべきでしょう。

Aoralscan3の場合は、他社製の口腔内スキャナーと比較しても本体価格はミドルクラス中ほぼ最安値で、ランニングコストも0に等しい水準です。

以下税別。

本体価格 215万円
PC 約18万円
(自前で用意することも可能)
専用ラック 約15万円
(自前で用意することも可能)
導入研修費 8万5千円
保守点検費用 20万円/5年間
ソフトウェアアップデート 無料
ライセンス使用料 無料
クラウド使用料 無料
クラウドデータ上限 無制限

特筆すべき性能

Aoralscan3の性能で特に優れている点は、スキャンのスピードと被写界深度ではないでしょうか。
本体の持ちやすさも大きな特徴です。

過去にもあらゆる口腔内スキャナーを見てきましたが、体感的なスキャン速度で言えばこのAoralscan3が最速のように感じます。
ドイツケルンで開催されたIDS2019において、当時発表されたプライムスキャンやトリオス4などの最上位機種のスキャンスピードには驚かされましたが、このAoralscan3のスキャンスピードは、決してそれらに劣りません。

むしろそれらを凌駕するスキャンスピードを感じさせるはずです。

さらにデータマッチングの速さが素晴らしく、常時22mmの被写界深度の深さが、ストレスのないスキャニングを実現しているようです。
ここからは、いくつかのテストを通じて、その真価をご紹介します。

1歳児のスキャンさえ可能にするスピード

Aoralscan3のソフトウェアの処理は非常に優秀です。

スキャンスピードが非常に早いため、1歳半の小児の口腔内さえスキャン可能です。
長い時間大きく口を開けることが困難な症例でも、データマッチングの速さと、深い被写界深度を活かして、データを素早く取得することが可能です。

データを繋げる技術(スティッチング)も爆速&高性能

口腔内スキャナーの精度を語る上で、最も重要なポイントがスティッチング技術です。
これはバックグランドで処理しているAIの技術によって性能が左右されるので、カタログ上では比較することができません。
実際に試して体感するしかないのですが、Aoralscan3はこのスティッチングが非常に速くて正確に感じます。

一度歯列全体を撮影してしまえば、右側臼歯から左側臼歯へ、左側臼歯から右側臼歯へと、カメラ位置を急激に動かしても、瞬時にカメラ位置を特定し、スキャンが続行されます。
これも他社製品を凌ぐ性能に思えます。

試しにゴルフボールをスキャンしてみました。
過去に『スキャン精度が最高レベル』と評判の他社製のハイエンドIOSで、ゴルフボールをスキャンするデモンストレーションを見たことがあるのですが、その高級機種で撮影されたゴルフボールは、スキャンはされているものの、ラグビーボールのように楕円形に歪んでいました。

Aoralscan3でスキャンしたゴルフボールのデータは、見事に球体として取り込まれています。
ここでもスティッチングのレベルの高さが伺えます。

『レポート出力機能』が患者さんのモチベーションを確実にアップ!

AIやクラウド容量、アプリケーションの側面から見ても、Aoralscan3には魅力的なサポート機能があります。
特にAI技術を活用した『レポート出力機能』は秀逸です。

スキャン終了後、数クリックするだけで、PCの画面にQRコードを表示させることができます。
このQRコードを患者さんのスマホで読み込んでもらうことで、クラウド上のレポートデータにアクセスできるようになります。

患者さんは自分のスマホで、自分自身の口腔内データを360度、いつでも自由に確認することができます。

自身の口の中の状態を把握しやすくなり、お口の健康に関心が生まれ、治療へのモチベーションにつながります。

さらにAoralscan3のアプリケーションは、口腔内の問題がありそうな箇所をAIが自動で検出し、その問題に対するアドバイスを自動で表示します。
これも患者さんのスマホにレポートとして表示させることができるので、コミュニケーションやプランニングの効率を大きく向上させるでしょう。

直線的な本体がこれ以上ないほどの握りやすさ!

IOSの持ちやすさの条件として、『細く』『小さく』『軽く』『直線的』ということが挙げられますが、その全てを兼ね備えているのがAoralscan3です。

IOSで口腔内の歯列をスキャンするときは、様々な方向からカメラを向ける必要があります。
本体が直線的な作りなので、様々な握り方で自由に持ち変えることができるのがAoralscan3の大きな強みです。
もちろん、ペングリップも容易です。

いいことづくめだけど、ここはちょっと…

ここまでAoralscan3の良いとこばかりを書いてきましたが、ちょっとイマイチだなぁと思うところもあります。

特に気になるのは『スキャンメッシュの荒さ』と『印象確認時の操作性』です。
この2点をもう少し詳しく見てみましょう。

メッシュの荒さが精度を下げる?

スキャン精度を語る上で必ず話題になるのが『メッシュの細かさ』です。
3Dデータというのは三角形の集合体です。
小さな三角形が密集するように集まって形を作っていますが、そのデータを『メッシュ』と呼びます。

このメッシュが細かいと、細部まで再現されているということになるので、『スキャン精度が高い』と考えられていますが、メッシュだけでスキャン精度を語るのは、画素数だけでカメラの性能を語ることに似ており、メッシュの細かさでスキャン精度を評価するのは無意味だと私は思います。

Aoralscan3のメッシュが比較的大きいのは事実ですが、これまでテストした限りでは、メッシュが大きいせいで精度が低いと感じたことはありません。
そもそもIOSに向いている症例では、メッシュの細かさに左右されることは少なく、印象材や石膏などの変形のリスクや、膨張収縮量などと比較しても、影響は限定的と言えるでしょう。

2024年3月追記
ソフトウェアアップデートにより『HD(高精細)モード』が追加され、スキャンメッシュの細かさは、ラボ用スキャナーのHDモードを上回るほどの細かさになりました。

なぜ…拡大できないの…

Aoralscan3には『物理ボタン』が付いていますが、なんと『モーションセンサー』も内蔵しています。
使い勝手も素晴らしく、この機能のおかげで、印象操作を開始してから終了するまでの間、PCのマウスやキーボードに触れることなく作業することができ、とても衛生的です。

印象が取れているかどうかのチェックも、モーションセンサーで直感的に印象データを回転させ、確認することができます。
それはいいのですが、この時モーションセンサーだけでは、ズームすることができないので、細部の確認がしづらいです。
データが取得できていない箇所は『緑色』で強調表示されるので判別はしやすいですが、モーションセンサーでもズームができるようになるといいですね。

ここはアプリケーションでの問題なので、ソフトウェアアップデートで対応されることを願うばかりです。

精度で選ぶ時代は過去のもの

最近は口腔内スキャナーの選び方として『精度』について語られることは少なくなりました。
どの機種も必要なレベルをしっかりと超えてきたためです。

最新モデルと言われる機種であればどれを選んでもある程度満足できるでしょう。

そこで最近は『IOSを使って何がしたいかで選ぶ時代』と言われています。
ですが個人的には、そこからもさらに一歩先に進んだように思います。

なぜなら様々なシステムがオープンプラットフォームとなり、特定のブランドに拘らない限り、どの機種を使っても何でもできるようになってきたからです。
冒頭でもお伝えしましたが、デンツプライシロナやストローマンといった世界的な超大手も、インビザラインのようにアライナーデザインの受注を開始していますし、セレックシステムよりもはるかに安価なミリングマシンを院内に設置することもできます。

IOSは『どれを選んでも大失敗することはない』と言える時代を迎えたのではないでしょうか。

まとめ

IOS選びのおすすめチェックポイントは『価格が安い』『取り回しがしやすい』『スキャンスピードが速い』ということです。
Aoralscan3はそれらのポイントをしっかりと抑えた機種で、さらに『カウンセリング』にもうってつけです。
最初のIOSとしても、2台目以降のIOSとしても、第1候補にして良い機種だと思います。

Mセラミック工房では、Aoralscan3を使った『より臨床に即したIOSの活用法』などの導入サポートも行なっております。

紹介特典もご用意しておりますので、興味のある先生はお気軽に『Mセラミック工房公式LINE』よりお問い合わせください。

LINEを使って歯科技工所Mセラミック工房に直接相談できます。
歯科医師の方はもちろん、歯科技工士、歯科衛生士、学生、どなたでもお気軽にどうぞ。

公式LINEアカウントへ。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

あなたは医療関係者ですか? 当サイトに掲載された情報の一部は歯科医療関係者に向けて公開されています。一般の方に対する情報提供は目的としておりませんのでご了承ください。