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マイクロレイヤリング陶材のトラブルシューティング

近年急速に普及している技工技術に『マイクロレイヤリング法』が挙げられると思います。
ドリオピテクスショップでもマイクロレイヤリングが可能な3Dステイン陶材『BIOMIC』を取り扱っておりますが、従来の陶材と比較してデリケートな側面も持っており、焼成後に色調のくすみが生じたり、気泡が発生するなど、材料本来の魅力が十分に発揮できていないこともあるようです。

このような現象は、リキッドタイプステインの特性を理解したうえで、焼成条件や操作工程を適切に管理することで回避・修正が可能です。

本記事では、トラブルの具体的な原因とその対処法を、私自身の実体験も交えながらご紹介いたします。

マイクロレイヤリング法とは

マイクロレイヤリング法とは、高強度ジルコニアフレームの表層に、3Dステイン陶材を使用して0.1~0.3mm程度の極薄セラミックを積層する技法で、天然歯のような透明感や色調のグラデーションを再現する審美補綴技術の一つです。

従来のフルステイニング法とレイヤリング法の中間のような位置付けですが、チッピングのリスクをほぼゼロに抑えながら、自然な深みのある色調を目指せるので、高い注目を集めています。

マイクロレイヤリング法が持つ特徴

  • 陶材の厚みを抑えることでフレーム強度を損なわず、チッピングリスクも軽減

  • 自然な色の深みと明度のコントロールが可能

  • 少ない焼成回数で仕上げが可能

  • レイヤリング法と比較して、技術習得までの難易度が低い

中でも当ショップでご用意している『BIOMIC』は、高彩度・高透明性・適度なフロー性を兼ね備え、マイクロレイヤリングの美しさを引き出すことを目的とした2Dと3Dのリキッドステイン陶材です。

トラブル①『色調のくすみ』

原因と考察

歯科用陶材の色調が「くすんで」見える主な原因は、焼成回数の多さによるものです。
繰り返しの焼成により、陶材内部の顔料が変質・酸化し、本来の発色が損なわれることがあります。
特に焼成時間が長い場合、くすみが目立ちやすくなります。

解決策

  1. 焼成回数を最小限に抑える(グレーズ込みで3〜5回)
    → 設計段階からステイン・グレーズ工程を集約し、再焼成を避ける。

  2. 適正な焼成プログラムの見直し
    → 昇温・係留・冷却の各フェーズを素材に合った条件に設定する。

  3. 信頼できる材料の選定
    → 2D、3D、グレーズまで一貫して用意された、安定した焼成挙動の陶材・ステインを使用する。

トラブル②『気泡やクラック』

原因と考察

3D陶材に気泡やクラックが発生する主な原因は、築盛や練和時に空気が混入することです。
ペーストに十分な混和が行われないと、空気が抜けきらず、焼成時に膨張・破裂し、気泡として残る可能性があります。

また、急激な加熱や冷却によって生じる熱応力も気泡やクラックの大きな要因です。
焼成前の乾燥が不十分な場合、内部の水分が急激に蒸発し、膨張圧によってクラックが生じることがあります。

解決策

  1. 丁寧に練和する
    → ステイン材とリキッドを、均一にしっかりと練和しましょう。

  2. 十分な予備乾燥を行う
    → リキッドの水分をしっかり除去し、内部での水分の急激な膨張を防ぎましょう。

  3. 段階的な温度上昇に設定する
    → 急加熱を避けることで熱応力の発生を抑制します。

トラブル③『ステイン材の黒変や変色』

原因と考察

ステイン陶材の変色には、焼成条件の不適切さに加え、陶材中に残留する有機成分の影響が考えられます。
陶材やリキッドには作業性を高めるために有機系の添加剤が含まれていることがあり、
乾燥不足のまま焼成を始めたり、初期加熱が急激すぎると、有機成分が完全に揮発せず、焼成中に不完全燃焼を起こし、黒っぽい変色が生じることがあります。

また、ファーネス内部に残留した有機物や汚染物質も発色に悪影響を及ぼす可能性があります。

解決策

  1. 十分な予備乾燥を行う
    → しっかりと乾燥させ、有機成分を焼き切るための準備が必要です。

  2. ファーネスを定期的にメンテナンスする
    → 最高設定温度の90~100%で、10分程度係留し、クリーニングバーンを実施する。プレスファーネスとの併用を避けるのも無難です。

  3. ステインは厚く盛りすぎず、均一を意識する
    → 3Dステイン陶材とはいえ、厚く塗りすぎない。

まとめ

焼成後のくすみやステインの変色、気泡・クラックは、陶材作業でよくあるトラブルです。
その多くは
練和用リキッドの有機成分が十分に乾いていないことや、焼成条件の設定ミスに起因します。
予備加熱時間と冷却時間をしっかり確保することで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。

また、ファーネス内に残った汚れや有機物も色調に悪影響を及ぼします。
定期的に
クリーニングバーンを実施し、炉内を清潔に保ちましょう

これらの基本を抑えて、3Dステインを用いた『マイクロレイヤリング法』に是非挑戦してみてください。

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