誰でも簡単にできる!シェードテイキングのちょっとしたコツ

シェードテイクのイメージ

セラミックなどの審美治療を行う際、誰もが歯牙色のチェック(シェードテイキング)を行っているかと思います。

これにより作るべき歯科技工物の色が決定されるのですが、まわりの歯の色との調和というのは患者様の評価(満足度)の対象としては、最も大きな要素のひとつと言えるでしょう。
特に重要になるのは『明度』と呼ばれる領域です。歯科技工士がどれだけ手を尽くしても、この『明度』がズレていると不自然な技工物に見えてしまいます。

フルジルコニアの技工物が白く浮いて見えるのも、物質としての透過性が低い(=明度が高い)ため、まわりの歯と明度がズレてしまっているのが原因です。
そのため日頃のシェードテイクに於いては、まずは確実な明度の弁別(見分け)を行うことが大切なんです。

これまでの記事にも度々登場させてきましたが、『VITA 3Dリニアシェードガイド(VITA社)』を筆者が推奨している理由は、この『明度の決定』に於いて、簡単かつシステマチックに行えるからです。
『VITA 3Dリニアシェードガイド(VITA社)』に関しては下の記事も参照にしてください。

シェードテイキングの絶対的な初手『明度の決定法』

『VITA 3Dリニアシェードガイド(VITA社)』でも推奨されているように、シェードテイクで最初に決定する色の要素が明度であるということはご存知かと思いますが、この最初の一歩目でつまずいてしまうと自然な歯科技工物を作ることができなくなります。

まずは次の写真をみてください。

VITA classical色見本カラー版

図1.VITA classical色見本(画像はVITA社HPより)

図1は世界中で最も普及している色見本の『VITA PANクラシカル』と呼ばれるものですね。
「ビタパン」だとか「クラシック色見本」とも呼ばれます。
普段よく使う「A3」や「C2」などの規格は、このクラシカルシェードガイドが基準になっています。

ところでこのカラー写真を見て、どの色がどういう明度をしているか、はっきりわかりますか?
なんとなく見当はつくものの正直わかりにくいですよね?

それでは次の写真を見てください。

VITAclassicalモノクロ画像

図2.上のVITAclassical画像をモノクロに変換

この図2であればどうでしょうか。
先程のカラー画像をモノクロに変換しただけで、ずいぶんと明度の弁別がつきやすくなったのではないでしょうか。
人の目が色情報に惑わされていることがよくわかりますし、クラシックガイドを参考にするだけでは正しいシェードテイキングを行えないということが理解できるかと思います。

明度決定のコツ

前置きが長くなりましたが、誰でも簡単にできる『明度のシェードテイキングのコツ』をお伝えします。

それは、明度決定の際に”目を細める“ということです。

「え?たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、これがかなり効果的なんです。

人の目の視細胞には”錐体(すいたい)細胞“と”杆体(かんたい)細胞“の2種類が存在しますが、錐体は色の感覚に、杆体は明るさの感覚に関わってきます。
色を感じるための錐体は明るい場所で優位に働くため、明度の弁別がつきにくくなります。
反対に、暗い環境の場合は杆体の働きが優位となるため、明度の弁別がつきやすくなります。

つまり、目を細めることによって目に入る光の量を意図的に減らし、強制的に錐体の反応を弱まらせることができるため、明度の差がわかりやすくなるのです。

appleのディスプレイキャリブレーション

図3.appleのディスプレイキャリブレーション

ちなみに、図3はMacの『環境設定』内にある『ディスプレイキャリブレーション』の画面ですが、輝度の判定をするためにここでも”目を細める“ことを推奨しています。

おわりに

目を細めるだけ。
コツと言うには少し乱暴なようですが、試してみると効果は高いです。
無意識のうちに実践している方も多いでしょう。

どんなに目をこらしてもシェードテイキングがうまくいかないという方は、是非”目を細める“をお試しください。

シェードテイキングに関する全ての記事へのリンクをまとめました。


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