歯科用CAD/CAMや口腔内スキャナーにおすすめのPCスペック。
CAD/CAMや口腔内スキャナー(以下IOSとも)3Dプリンターで使うソフトウェアを問題なく動かすには、導入する予定のPCスペックを事前に確認しておく必要があります。
口腔内スキャナーデータや、加工データのほとんどは、3Dデータでの取り扱いとなるため、一般的なビジネス用のPCでは期待通りの操作は望めません。
3Dデータの処理が得意な、ハイスペックなゲーミングPCなどが適しています。
IOSやCAD/CAMシステムなどの導入時に、販売店からも最適なPCを案内してもらえることも多いですが、少しでも良いPCを安く購入するには、自分でスペックを調べて自分で購入してしまうのが一番です。(メーカー指定のPCしか認められない場合もあるので、自前でPCを用意してもいいかどうか、先に販売店さんに確認しましょう。)
今回はPCのスペックを確認するときにチェックすべき項目と、主要な歯科用アプリケーションが推奨するPCスペックについて解説していきます。
実際のPCの選び方は以下のページで紹介しております。
もくじ
最低限チェックすべき項目はこの3つ
PCをスペックで選びたいときに、最低限チェックしておきたい項目があります。
『CPU』『メモリ』『グラフィックボード』の3つです。
この3つがPCの機能を確認する上で最も重要な項目になり、このうちの一つでも低い性能のものがあれば、PC全体のパフォーマンスが落ちてしまいます。
この3つは、いずれも同程度に高い性能であることが重要であると覚えておきましょう。
CPUの役割
CPUはパソコンの頭脳に当たります。
データの処理やパーツの動作の管理などはこのCPUで行われます。
PCを起動し、OSを立ち上げ、ホーム画面を表示するといった一連の動作も、全てCPUによって行われています。
そのためプログラムの実行時間などに大きく影響するため、できる限り最新世代のCPUを選ぶべきです。
CPUはインテルやAMDが主に供給しており、性能に大きな違いはありませんが、現時点ではメーカーの推奨スペック表などではインテル表記のものが多いため、インテル製のものを選ぶと良いでしょう。
2022年10月時点のインテル製CPUは『第13代インテルCoreプロセッサ』が最新世代のCPUです。
コア数とクロック数について
インテル製とAMD製を比較する際に『コア数』と『クロック数』が挙げられます。
コア数が多いほど同時処理が得意で、クロック数が多いほど処理速度が速くなる特徴があります。
インテル製CPUはコア数が少なくクロック数が多いので『処理速度重視』、AMD製はコア数が多くクロック数が少ないので『マルチタスク重視』となっています。
メモリの役割
メモリはCPUが行う処理を一時的に記憶するためのスペースです。
よくテーブルにも例えられますが、広いテーブルの上で作業する方が様々な仕事を効率よく作業できますよね?
逆に小さいテーブルだと、別の作業をするたびに他の資料や道具を片付けたりしなければならず、効率が落ちます。
メモリの大きさはテーブルの大きさです。
同時に色んなアプリを立ち上げてもサクサク動かすには、十分なメモリが必要です。
グラフィックボードの役割
グラフィックボードは処理したデータをディスプレイに表示する役割があります。
歯科用CAD/CAMやIOSの操作には高度な映像処理が必要なので、独立したグラフィックボードの搭載が必要になります。
NVIDIA社のGeForceと、AMD社のRADEONが展開していますが、どちらも製品の番号が大きいほど高スペックのものになります。
多くのパソコンメーカーではNVIDIA社のグラフィックボードを元に開発を行っているので、Geforceのシリーズがおすすめです。
2019年頃推奨されていたPCのスペック
PCのスペックは年々向上しています。
まずは過去に歯科メーカー各社が推奨していたPCスペックを参照してみましょう。
3年が経過した2022年現在のPCから見ると、かなり低いスペックのように感じますが、いかがでしょうか。
悩ましいのは、低いスペックのPCを選んだところでそこまでコストダウンが計れないということ。
そのとき売れ筋の最新PCの方が、メーカーも値下げを頑張ってくれるので、古いPCが必ずしもコスパが良いわけではないのです。
exocadを操作するための最低限必要なスペック
出典:exocad.com
2019年頃に動作保証されていたPCスペックです。
CPU:Core i7以降
メモリ:8GB以上
グラフィックボード:Geforce 1000番台以降
exocadを余裕を持って操作するための推奨するスペック
2019年頃に推奨されていたPCスペックです。
CPU:Core i7以降(2019年はi9もリリース済み)
メモリ:16GB以上。余裕があれば32GBを。
グラフィックボード:Quadro 2000番台以降 or Geforce 1060番台以降
ストレージ:SSD(Cドライブに240〜480GB以上の空き容量)
高速化を目指すならM.2 SSDを推奨。
電源ユニット容量:600W以上
セレックinLabで採用されているPCのスペック
続いて当社で導入しているセレックinLabを動かしているPCスペックです。
ちなみに最初に導入するPCについては本国からプリインストールされたシステムが送られてくるため、PCを選ぶことはできませんでした。
CPU:Core i7-7700 @ 3.60GHz
メモリ:16GB
グラフィックボード:AMD Radeon RX 570 Series
ストレージ:Cドライブ(SSD) total 215GB
電源ユニット容量:不明
2022年現在推奨されているPCスペック
それでは最新のソフトウェアアプリケーションが推奨しているPCのスペックを確認していきましょう。
exocadの操作に必要なPCスペック
定番の技工用CADソフト。
設計アプリケーションを動かすための動作保証環境です。
CPU:Intel Core-i7 9700k / AMD Ryzen 7 2700X
メモリ:16GB DDR4 non ECC
グラフィックボード:Nvidia RTX 2060(6GB GDDR6)/AMD Radeon RX 5600 XT (6GB GDDR6)
Aoralscan3の操作に必要なPCスペック
出典:shining3ddental.com
SHINING 3D製の口腔内スキャナー。
スキャナーとアプリケーションを動かすための動作保証環境です。
CPU:Intel Core-i7 8700以上
メモリ:16GB以上
グラフィックボード:Nvidia RTX 2060 6GB以上
ハードディスク:256GB SSD以上
OS:Windows10 professional(64bit)以降
メディットi700の操作に必要なPCスペック
出典:medit.com
Medit社製の口腔内スキャナー。
スキャナーとアプリケーションを動かすための動作保証環境です。
CPU:Intel Core-i5 12500以上
メモリ:32GB以上
グラフィックボード:Nvidia RTX 3060 6GB以上
OS:Windows10 professional(64bit)以降
オートスキャン-DS EXプロの操作に必要なPCスペック
出典:shining3ddental.com
SHINING 3D社製の卓上スキャナー。
Ciメディカルのレンタルスキャナーにも採用されているモデルです。
スキャナーとアプリケーションを動かすための推奨環境です。
CPU:Intel Core-i5以上
メモリ:8GB以上
グラフィックボード:Nvidia GeForce GTX 640またはGTX750以上
OS:Windows7,10(64bit)以降
メディットTシリーズの操作に必要なPCスペック
出典:medit.com
Medit社製の卓上スキャナー。
代表的なオープンスキャナーの一つです。
スキャナーとアプリケーションを動かすための動作保証環境です。(ラップトップ版)
CPU:Intel Core-i7-8750H 以上
メモリ:16GB以上
グラフィックボード:Nvidia GeForce GTX 1060以上
OS:Windows 10(64bit)以降
メディットTシリーズをサクサク動かすためのPCスペック
Medit社製の卓上スキャナー。
代表的なオープンスキャナーの一つです。
スキャナーとアプリケーションを動かすための推奨環境です。(ラップトップ版)
CPU:Intel Core-i7-8750H 以上
メモリ:32GB以上
グラフィックボード:Nvidia GeForce GTX 1060(6GB)以上
OS:Windows 10(64bit)以降
まとめ
ごく一部ではありますが、現行の歯科用アプリケーションが動作保証しているパソコンのスペックについてまとめてみました。
使用する機種の目的や開発時期によって、動作保証されているPCスペックに多少の開きはあるものの、3dデータを扱うのであれば必要十分なスペックを持ったPCを選ぶ方が、今後の運用にも対応できて良いのではないでしょうか。
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参考リンク
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